遅れる津波対策
病院や老人施設、大半がマニュアルなし 低い危機管理意識
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郡内の老人ホームや医療機関では、大地震に伴う津波発生時の対応が遅れている。津波襲来時に入所者や入院患者を安全な場所へ避難誘導するための対策を立てているのは2施設しかない。大半の医療機関や老人ホームが防災マニュアルに津波対策を盛り込んでおらず、危機管理対策の遅れが改めて問われそうだ。(南風原英和記者)
八重山では、死者1万人を出した1771年の明和の大津波をはじめ、県内の気象台で津波予報業務が開始された1972年5月以降、津波警報が9回、注意報が19回出ている。
98年5月4日の石垣島南方沖地震ではM7.7の大地震が発生。津波警報が出されたが、幸い、津波の高さは10センチ未満と被害はなかった。だが、活断層が縦ずれだった場合、3~4メートル級の津波が襲来し、大きな被害が出たと指摘されている。
このような状況にもかかわらず、入院患者やお年寄りなど多くの災害弱者を抱える病院や老人ホームでは、消防法で義務づけられた防災マニュアルはあるが、津波対策の整備にはほとんど手を付けていない。
県立八重山病院(296床)では「高台にあるため、津波対策は今のところ考えていない」(玉山憲重事務部長)という。
かりゆし病院(110床)と介護老人保健施設「聖紫花の杜」(60床)や石垣島徳洲会病院(49床)も、津波対策へのマニュアルはない。
かりゆし病院の石垣寿樹事務長らは「重症患者や寝たきりの人を高い所へ避難させるのは困難。市が新川地区の緊急避難場所として病院に近い自然の家を指定しているので、むしろここから移動しない方がいい」と話す。
宮良にある特別養護老人ホーム「なごみの里」(50床)の渡久山覚施設長は「海抜40メートルと高台にあるのが安心感につながっているが、理事会ではそれ以上の津波が来たら、逃げ場所はないという指摘がある。将来は2階建てにし、入所者の避難場所を確保したい」という。
一方、海岸から100メートルと海に近い介護老人保健施設「太陽の里」(100床)と身障者療護施設「ハーモニー」(50床)は、津波の襲来を懸念。マニュアルに情報の収集や避難誘導、職員の責務など津波対策を定めている。
太陽の里の大島常雄事務長は「施設外への避難は時間的、物理的に厳しい。いざという時は入所者を3階へ避難させることがベター」。津波を想定した避難誘導訓練を年1回実施しているハーモニーの米盛恵子事務長は「警報が出たら、海側の居室の利用者を山側の居室に避難させるのがやっと」とそれぞれ話す。
数ある自然災害の中で、津波は到達前に避難すれば、人的災害を軽微に抑えることも可能だ。
また、マニュアルがあるのと、ないのとでも職員の意識が違う。対策がない病院や施設は速やかに整備し、お年寄りなど災害弱者を安全な場所へ避難誘導する態勢づくりが求められる。
著者名/八重山毎日新聞 遅れる津波対策
http://www.y-mainichi.co.jp/news/14088/
最終アクセス2009年7月25日
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