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要援護者情報:東京・檜原村、リスト作れない 「孤独死」に個人情報の壁
◇1~4月、発見遅れ8件
災害時に備え要援護者情報の共有化を模索している東京都檜原村が、個人情報保護条例の壁に直面している。村では1~4月、高齢者が死亡後数時間~2日たってから発見される事例が8件発生。うち4人は一人暮らしで「孤独死」だった。村は08年10月から、「住民居住名簿」の作成を進めているが、過疎の村でさえ、情報の共有化がままならないのが実情だ。
山梨県境近くのがけ下から、女性(83)の遺体が見つかったのは1月7日午前10時ごろ。女性は認知症で一人暮らしだった。しばらく姿が見えず近所の住民が心配していたが、親族などの連絡先が分からず警察や消防に通報できなかった。村の福祉担当職員が偶然、親族の連絡先を知っていたことから、6日夜にようやく連絡がつき警察に通報。捜索で遺体が見つかった。ごみ出しの際に誤ってがけから約60メートル転落したとみられ、死後2日が経過していた。
村福祉けんこう課によると、1~4月に亡くなった高齢者は80~88歳の男女8人。うち4人は一人暮らしで、他の4人も高齢の兄弟や配偶者などと同居していた。急病や持病で死亡し、数時間~2日後に自宅で発見されたケースが6件(うち1件は危篤状態で発見)。高齢者が転落死した事例も2件あった。村では、高齢者が人知れず死亡するケースはこれまで、多くても年に1件しかないという。
村は高齢化率が都内で最も高い42%で、山間部で一人暮らしする高齢者が多い。このため村は、災害時に備えて08年10月から自治会などに依頼して、要援護者リストとしても使える住民居住名簿の作成を進めている。だが情報提供は本人の意思に基づくもので、拒否もできる。住民基本台帳や福祉担当部署の情報を統合すれば要援護者の情報は集約が可能。しかし、村の個人情報保護条例では、行政情報で名簿を作成して自治会などに提供するには、本人の同意か個人情報保護審査会への諮問が必要と定められている。村総務課の坂本政人課長補佐は「本人の意思に基づいて作成した方が現実的だが、対象者全員の同意を得るのは難しい」と困惑している。
◇「本人同意」困難 条例で外部提供、渋谷区のみ
国は災害時の要援護者リストの整備と外部機関との連携を呼び掛けているが、多くの自治体は住民から同意を得たうえでリストを作成する手法を進めているため、全対象者の把握は困難な状態だ。条例に基づき住民の同意なしでリストを作り外部に提供している自治体は、内閣府が把握する限り全国で東京都渋谷区だけという。
内閣府によると、リスト作成には本人から直接情報を収集する方法と、同意なしに役所が持つ情報を統合する「関係機関共有方式」がある。国は08年4月、個人情報の保護に関する基本方針を一部変更、各自治体に個人情報保護条例の適切な解釈・運用を求めた。リスト作成については、全網羅的な情報を把握できる関係機関共有方式を推奨している。
この方式は「個人情報の目的外使用」に当たるため、個人情報保護審査会への諮問など所定の手続きが必要となる。だが本人の同意を得ていないため、トラブルを恐れて自治体がリストの外部提供をためらうことも多い。
渋谷区は06年、震災対策総合条例を改正し、要援護者情報を例外的に本人同意なしで外部提供できる制度を全国で初めて導入した。任意で名簿登載者を募ってきたが、住民の入れ替わりが激しく、要介護高齢者と障害者の約15%分しか集まらなかったためだ。現在830人分の名簿を、自主防災組織や民生委員などに提供している。
著者名/毎日jp 毎日新聞社
要援護者情報:東京・檜原村、リスト作れない 「孤独死」に個人情報の壁
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最終アクセス2009年7月30日
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