ホーム > 業界新着情報 > 最新情報 > 老人福祉事業者・医療機関の倒産動向調査結果を発表
先日、帝国データバンクが老人福祉事業者・医療機関の倒産動向調査結果を発表しました。
高齢化社会が進む中で、医師不足や介護事業所の不足が叫ばれていますが、さらに追い打ちをかけるかのように、倒産件数が2009年は過去最高となったようです。
介護報酬の改定などが大きな倒産要因となったようですが、現在、人材も施設数もなおも減少傾向にある中で、2010年度への警鐘となりそうです。
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特別企画:老人福祉事業者・医療機関の倒産動向調査
老人福祉事業者・医療機関の倒産、2009年はともに過去最高
~ 老人福祉事業者の倒産は3年で4.6倍に急増 ~
◆はじめに
医師の勤務医志向の後退から診療所が増加する一方、病院の減少により、病床数は年々減り続けている。高齢化がさらに深刻化するなか、医療・老人福祉問題は最も優先すべき問題のひとつとなっているが、近年のあらゆる法改正、労働条件問題などで、現場で働く魅力は徐々に失われつつあり、医療・介護現場の患者(高齢者)とそれをケアする人員の需給バランスの崩壊が懸念される。
帝国データバンクは、2001年~2009年における「老人福祉事業者(※1)」と「医療機関(※2)」の倒産(法的整理のみを対象)動向について調査・分析した。
※1:養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウスを含む)、老人福祉センター、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設の運営および、移動入浴サービス、在宅介護サービス(医療は行わず日常生活の介護)を行っている事業者を対象
※2:病院・診療所・歯科医院を対象。「病院」=病床数20以上、「診療所」=病床数20未満で区別
※参考グラフは添付の関連資料「オリジナルリリース」を参照
1.倒産件数 ~ 2009年は老人福祉事業者、医療機関ともに過去最高 ~
2009年の倒産は、「老人福祉事業者」が32件、「医療機関」が52件となり、ともに過去最高となった。
老人福祉事業者の倒産は、2006年は7件だったが2007年以降急増し、2009年までの3年間で4.6倍に膨らんだ。
2000年4月の介護保険法の施行が大きなきっかけとなり、訪問・通所介護サービスなどの介護関連の事業に活路を開こうと新規参入する企業が相次ぎ市場は拡大したが、徐々に同業者間の競争が激化。老人ホームでは、入居一時金の引き下げや入居率の低下などを招き、当初の計画通りに事業を進めることができなくなるケースが増加した。
さらに2006年4月に改正介護保険法が施行。介護報酬の引き下げに加え、施設サービスにおける居住費用・食費が介護保険給付対象から除外されるなど、業者の置かれる経営環境がさらに悪化したことが2007年以降の倒産急増の要因になったのではないかと考えられる。
一方、医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産件数は、2002年以降の増加傾向のなか、2007年には病院の倒産急増が大きく影響し、48件に達した。翌2008年は35件と多少落ち着きをみせたものの、2009年は2007年を上回る52件となった。
2009年が過去最高となった要因は「診療所」(26件)と「歯科医院」(15件)が増加したことにあるが、両施設は病院とは対照的に年々施設数が増加しており(6頁の表参照)、競争激化に伴う淘汰的要素の強い倒産が多いと考えられる。
病院の倒産は、2007年に18件に急増。当時、医師不足、患者の選択意識の高まり(大病院への集中)、診療報酬の改定(引き下げ)など、病院の置かれる経営環境の悪化が大きな社会問題になっていたが、同18件のなかに同問題が主要因となったケースは含まれていなかった。
そのため、同問題が主要因となる倒産は2008年以降に増加するのではないかとみられていたが、2008年(7件)→2009年(11件)と比較的落ち着きをみせている。ただ、2009年は診療報酬引き下げを要因とする倒産が主体となっており、これまで中心となっていた"過去の設備投資負担""放漫経営"といった倒産と大きく"質"が変化していることは注目すべきポイント。
来年度、10年ぶりに診療報酬が引き上げられるものの、総枠でみた場合、引き上げ率はごくわずかにとどまるため、医療機関の経営を好転させる大きな要因になることは期待されにくい。また、医療法人制度の改革に伴い2008年3月期分から医療法人の決算書が閲覧可能になったことを受けて、これまで病院を選択する際に重点が置かれていた臨床技術・施設面に加え"財務面"での要素が徐々に重要視されていくことが予想される。
2.倒産態様 ~ 老人福祉事業者の83.3%が「破産」 ~
老人福祉事業者の倒産態様は、調査対象期間に発生した102件のうち、「破産」が85件(構成比83.3%)で最も多く、以下、「民事再生法」(9件、同8.8%)、「特別清算」(6件、同5.9%)と続いた。業歴が浅く規模も小さい事業所が多く、再建型の民事再生法を選択できる条件にかなった企業が少ないことが分かる。
一方、医療機関をみると、「診療所」は115件(構成比83.3%)、「歯科医院」は73件(同83.0%)が「破産」だったのに対し、「病院」の破産率は30件(同42.3%)と大幅に低くなっている。老人福祉事業者と同様、事業規模が小さく(個人経営が多い)、設備、人材面などが必ずしも十分とはいえない診療所や歯科医院は、事業価値を見出すスポンサーが現れにくく、事業の立て直しが困難で破産を選択せざるを得ないのが現状と言える。
3.負債額 ~ 老人福祉事業者の66.7%が「1億円未満」 ~
負債額別に見ると、老人福祉事業者は「1億円未満」が68件(構成比66.7%)で最も多く、以下、「1億円~5億円未満」(21件、同20.6%)、「10億円~30億円未満」(6件、同5.9%)と続き、5億円未満が87.3%(89件)を占めた。
一方、医療機関(負債が判明している266件を対象)は、「1億円~5億円未満」が111件(構成比41.7%)で最も多く、以下、「1億円未満」(64件、同24.1%)、「10億円~30億円未満」(41件、同15.4%)と続き、5億円未満が65.8%(175件)を占めた。
施設別に見ると、「病院」は「10億円~30億円未満」(29件、構成比42.6%)、「診療所」は「1億円~5億円未満」(68件、同53.5%)、「歯科医院」は「1億円未満」(35件、同49.3%)が最多となっている。
4.業 歴 ~ 老人福祉事業者の75.5%が「10年未満」 ~
業歴(設立から倒産までの期間)別でみると、老人福祉事業者のうち77件(構成比75.5%)が「10年未満」となった。2000年の介護保険法施行に伴い、多くの新興企業が老人福祉事業に参入したものの、10年を経ずに倒産している企業が多発している現状が浮かび上がってくる。
一方、医療機関を「10年未満」でみると、「病院」(14件、構成比19.7%)、「診療所」(61件、同44.2%)、「歯科医院」(24件、同27.3%)となり、診療所の構成比の高さが目立った。
出典:日本経済新聞社 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=240751&lindID=5
帝国データバンク、老人福祉事業者・医療機関の倒産動向調査結果を発表
最終アクセス日:2010年1月19日
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