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バリアフリーより、リハビリで自衛の時代?
10/06/25 【最新情報

高齢者にとって、優しいものと考えられているバリアフリー住宅。

しかし、日本と欧米とではライフスタイルも大きく違うようです。

記事にもありますが、日本でバリアフリーというとすぐに思いつくのが、『段差をなくす』、『力を入れなくても外出できるような街づくり』です。

しかし、介護保険制度導入の基本概念は、介護を少しでも軽くするために支援をするための制度だったはず。

住みやすい街になるにつれて、高齢者の方の筋力を奪っている―――そんな現実があります。

高齢者の方へいかにして自立への意識を持って頂くか。

これが、今の最大の課題ではないでしょうか。

 

バリアフリーより、リハビリで自衛の時代?

2010年6月25日

ここ数年、度重なる首相交代や選挙などで国会の審議が中断し、火急であるべき少子高齢化医療体制や抜本的な年金の見直しなどが先延べされ、いまだ納得のいく解決策や国家の方針が立っていません。そんな中で果たして消費税率アップすればことが足りるのでしょうか?いったいこの国の医療や高齢化対策、何よりも未来を担う育児支援はどうなっていくのでしょう?

 こうなると、もう住まいも「老いたらバリアフリー」などというだけではすまない。自身で野も山も越えて生き抜く力をつける「リハビリ」こそ重要!となってきます。長年コラムでこのような考えを発信していますと、読者の方からも多くの賛同メールをいただきます。以前にもご紹介しましたアメリカ在住の方からは

 「先日、日本で暮らす母を連れて隣カナダのナイアガラの滝見物旅行に行きました。29年前に父がアメリカに来たときに国境まで来たのですが、パスポートを忘れたために行けなかったことを、80歳になる母は、『パパ、私が先にカナダに入りましたよ! 天国で見ていてくださいね!』と言いながら、渡るのでした。―中略―

 母が、『アメリカは住みやすいところだね!こんなところで生活したら、のんびり出来て良いだろうね!』 と言うのを聞くと、余生を幸せに生きてもらえるよう呼んで上げたいと思うのです。カナダなど税金は高いが、医療費はただで、高齢者にとっては助かる国だそうです。アメリカはそこまでは行きませんが、老人でも仕事する場が多く、身体障害者も自由に出かけられる施設が徹底している国です。その点日本は"老人が住みにくい仕組み"をつくっているような国と痛感します」

 というメールですが、海外で暮らす人々からは老人問題に関して、このようなご意見が多いのです。ニュージーランドにお住まいのKさんは「高齢社会を注視し、歳をとっても自分(達)だけで暮らせるような家づくりは素晴らしいことと思います。私の住むNZでは、65歳以上のわずか5%だけが老人ホームなどの施設に暮らし、残りは自宅で自立して暮らしています。(2004年当時 ―中略―)自立して暮らすには食事だけでなく、できるだけ動いて筋肉を失わないことが大切です。そのことを考えると、今の日本のバリアフリーは、家が快適になりすぎて外出する機会が少なくなりはしないか?」と心配されていました。

 さらに「運動が減る」→「筋肉が落ちる」→「足腰が弱くなる」→「動かなくなる」→「おなかが減らなくなる」→「食事が減る」→「必要な栄養がとれない」。さらに家から出なくなると、「太陽(UV-light)に当たらず」骨粗そう症などの予防に必要なカルシウムの生成に必要な「ビタミンDが作られず」、「骨折しやすい」など、「風が吹けば桶(おけ)屋が儲(もう)かる」的な痛快かつ専門家的なメールもありました。

 確かに家が至れり尽くせりのバリアフリーでは、筋力が弱まり外出も減って運動不足となり、結果足腰を弱らせ、転倒骨折の原因になると指摘する医師もいます。実際に私の母を含め、寝たきりや重度要介護老人のほとんどは、この骨折が原因とも言われています。

 そんなことから、私は住宅においては車いすのためのバリアフリー化をあまり勧めてはいません。バリアフリーというと、なぜか即、車いすでそのための段差の解消やスロープということになるのですが、果たしてお年寄りが車いすでスロープを自力で昇ったり降りたり、車いすを器用に操ってお台所仕事をしたりできるでしょうか?

 若く元気な障害者やモーター付きの車いすを操縦できる闊達(かったつ)な老人は家の内外も自由に行動できるかもしれませんが、実際には足腰が弱って腕や手も衰弱すると、車いすもそう簡単には動かせません。その乗り降りが大変で、便器になどに乗り移ることも一人では難しいのです。

 意外にも、寝起きの際のベッドやトイレなど、あえて段差がある方が腰掛けの態勢から立てるし、その後は手すりを伝って移動し、さらに手つき台があるトイレ・・・という方が実は行動が楽になります。となると、まったく段差のないバリアフリーの住まいよりは、小上がりの和室など、多少の段差や緩い階段などはリハビリとなり、かえって手足や腰を鍛えることが出来て良いと言う医師もいるのです。


出典:朝日新聞社 バリアフリーより、リハビリで自衛の時代?
http://www.asahi.com/housing/amano/TKY201006240234.html
最終アクセス日:2010年6月25日
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